映画「i ー新聞記者ドキュメントー」と「新聞記者」を比較して僕らは政治とどう向き合うべきなんだろうを考える【後編】

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前編後編に分けるほど前置きが長くなりましたが、いよいよ「i ー新聞記者ドキュメントー」はどんな映画だったかに入ります。

その前に、この映画はドキュメンタリーなのでネタバレの線引きが難しいです。また、後半には明らかなネタバレをします(直前にもう一度警告はします)。情報を入れずに見たい人は読まない方がいいかもしれません。そんな人に先に言っておくと、この映画は素晴らしい映画です。菅官房長官、伊藤詩織、前川喜平、籠池泰典、この名前を聞いてわからない人が1人でもいる人は理解するのに苦労するかもしれませんが、全員顔も名前もわかるって人は是非見ることをお勧めします。それでは映画を見た後にまたお会いしましょう。

それでは後編始まります。どうぞ!

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監督すら被写体のドキュメンタリー

「i ー新聞記者ドキュメントー」は当然ドキュメンタリーです。ドキュメンタリーと言っても色々な撮り方や見せ方があります。例えば、代表作に「精神」や「選挙」があるドキュメンタリー映画監督の相田和弘さんの映画は”観察映画”と言われていて、ナレーションもBGMもテロップもなく、できる限り自然に近い撮り方をしています。もちろん監督がいて、カメラを通していて、編集をしている限り、主観が入らないなんてことは100%無いのですが、それに少しでも近づけるように撮っています。

対して「i ー新聞記者ドキュメントー」はテロップが出る、というか監督の主観のテロップまで出る。監督自身のナレーションもあるし、なによりカメラをスタッフに預けて監督自身まで被写体になって喋ります。ドキュメンタリーとしてはかなり突っ込んだ手法です。これはタイトルにもなっている「i」にも繋がります。

タイトルにつく「i」の意味

この映画は東京新聞記者である望月衣塑子さんの著書をきっかけに撮られているので、当然、望月記者が主役です。沖縄の辺野古埋め立て取材に始まり、前川喜平さんや伊藤詩織さんを取材したり籠池夫妻に会ったりします(山口敬之さんに直撃もします!)。その過程で子供と電話したり、出口がわからず迷子になりかけたり、旦那さんの手作り弁当をかきこんだり、サンドウィッチを大口あけてかじりついたりします。

また、望月記者が菅官房長官に対してだけだなく東京新聞の態度や記事にするしないでも闘う様を映しています。なぜフリーでなく新聞社所属なのか、なぜ政治部でなく社会部の望月記者が官房長官質問に行くのかも語ります。

これは東京新聞記者であって個人でもある望月衣塑子のパーソナリティを映している映画であって、政権批判がしたい映画ではないことを示しています。これが「i」の理由のひとつ。

また、森達也監督も彼女を追いかけながら、国会議事堂内の取材に参加しようとして岩上安身や上杉隆に相談したりします。

余談ですが森達也監督が上杉隆に電話で「国会取材に入るにはどうしたらいいか?」と相談すると、上杉隆は「最近は行ってないから岩上安身さんに聞いた方がいい」と返します。おそらくこの電話のあと、上杉隆はNHKから国民を守る党幹事長となって国会にまた行くことになります。N国事情に詳しい人はニヤニヤポイントです。

映画内では監督自身が質問したり、首相官邸前で守衛と言い合いしたりしながら、日本の政治取材のおかしさを炙り出します。監督の独白まであります。この映画自体が森達也という「i」でもあるわけです。これも理由のひとつ。もうひとつ最後にも出てきますので後ほど。

様々な登場人物、様々な「i」

前述もしましたが、この映画には今の政治の問題に関わる様々な人が登場します。

おなじみ菅官房長官。映画を見ているとイライラしてしまう望月記者とのやりとり。質問にウンザリした管さんの顔が大写しにされるあたりにも主観映画たる「i」を感じます。

伊藤詩織さん。裁判の後、望月記者と抱き合うなど親密な関係をうかがわせます。伊藤詩織さんが話しながらデザートをスプーンでつつくシーンが楽しい。

中盤の爆笑ポイント籠池夫妻。この夫婦の会話はいつまででも見ていられる(笑)お母ちゃんがお菓子をカメラやスタッフにまで「食べて食べて」と袋を開けて無理矢理手渡します。

前川喜平さん。夜間中学で教えている様子を望月衣塑子記者が取材します。

テレビ番組に出演。なんと吉田豪さんまでチラ見。左はパックン。司会の堀潤さんも登場します。

田原総一朗さんも。他にも岩上安身さんなど記者がたくさん登場します。

また、宮古島の弾薬庫建設問題や辺野古埋め立て取材では市民が望月記者に激励したり意見を伝えるために登場しますし、デモのシーンでも望月記者登場に沸いたり「頑張って」と伝えるデモ参加者が出てきます。

様々な「i」は、映画のラスト2019年7月20日参院選の安倍総理秋葉原選挙演説へ向かって集約されていきます。

この後、重大なネタバレをします。
ご注意ください。


本当に「i」ですか?

参院選を熱心に見てた人なら覚えているでしょうか、2019年の参院選最終日の夜、秋葉原で厳戒体制の中、安倍総理の選挙演説が行われました。動員含む安倍支持派と、「安倍やめろ」コールの不支持派が集まり両陣営から怒号が飛び交う場所に望月記者もカメラも入ります。

その映像の合間に坊主頭の古い写真が何度か差し込まれます。それはパリ開放の写真です。

ドイツ兵と恋に落ちた女性たちを丸刈りにさせ見せしめにしてリンチした写真です。このことを森達也監督自身がナレーションで説明します。

安倍支持派、不支持派、どちらであっても派閥に取り込まれることの怖さを暗喩でなくはっきりと言葉にします。この”わかりやすさ”は「新聞記者」の”わかりやすさ”とは別のものです。印象づけるための脚色ではなく、歴史の事例から提示してみせるのです。この映画を見てきて安倍政権へのフラストレーションを貯めて見ていた僕らはハッとさせられるシーンです。

あなたのその気持ち、行動は「i」ですか?と。

僕らは政治にどう向き合うべきなんだろう

「新聞記者」は善と悪をはっきり分けるような演出で政治に疎い人にでも届く作品に仕立てました。対して「i ー新聞記者ドキュメントー」は、そこへの危険性を提示してみせた対照的な作品です。若い人や政治に疎い人にも届けたい、でも安易な届け方は危険もはらみます。また、集団になることで出来ることの可能性が広がることは認めながらも「i」であることも重要。このアンビバレントなことをいつも僕の仲間は考えています。僕も考えます。答えは出ないとても難しい問題です。でも目を逸らしてはいけないと「i ー新聞記者ドキュメントー」は教えてくれます。

僕らは政治にどう向き合うべきなんだろう。そんな映画でした。傑作だと思います。ぜひご覧ください。

評から漏れたおまけ

ラスト近く、途中でアニメーションが2度挟まります。巨大化した菅官房長官のバケモノに勇者望月衣塑子が攻撃するアニメです。笑えます!でもドキュメンタリーですから。アニメでトドメを刺す前に現実にすぐ戻る。そんなアニメのようなことはないのです。この演出「桐島、部活やめるってよ」の屋上ゾンビシークエンス思い出しました。僕は大好きな演出。

ラストカット、支持者に囲まれながら横断歩道を渡る菅官房長官。対して国会議事堂前、警備員に理不尽に横断歩道を渡ることを制限される望月衣塑子記者。この対比も面白かったです。

 

前編はこちら

劇映画「新聞記者」のレビューはこちら

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コメント

  1. 匿名 より:

    Gomen iは全く知らんかった 興味もない

  2. 匿名 より:

    ×ドキュメンタリー
    〇SF

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