センター試験へ向かう未成年女性に対しての性暴力の背景

朔海あかり

朔海あかり

コラム
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私は女性だ。戸籍上は生まれてからずっと女性だった。

「戸籍上は女性だが、性別は関係なく自分は自分であればいい」

そう自分に言い聞かせていたが、女性という性別を受け入れるのに、私は中年と呼ばれる年齢になるまで時間がかかった。

ここで書く機会をいただく前には、書く事を仕事にしていた時期もある。その時は、名前が載らない仕事が多く、性別以前に自分を消して依頼されたものを文章にしていた。継続してもっていたコラムには年齢と性別を出していたが、自分の性別と属性を笑いのネタとして売り物にしていた。その頃の私は自分の性別を認めておらず、だから自分の性別と年齢をどうでもいい道具として晒した。

もう一つ付け加えると、私は商業ベースで書く事をやめた後にアスペルガーと診断された。生まれてからずっとアスペルガーだった訳だが、気が付かずに大人になったケースだ。

その診断から自分を振り返る作業をして、自分が戸籍と生物学上は女性である事をやっと認めた次第だ。ここでプロフィールに「おひとり様女性」と書いたのは、自分が含まれる女性という補集合が日本の社会でどういう風に扱われているのかをいずれ書きたいと思ったからだ。

今回は、こちらのブログで議論になっている女性車両についての記事と寄せられた意見に対して、書きたいと思う。

先に書いたアスペルガーという状況に私の親は気が付かず、私は一人で行動する子供に育ち、一人で行動していた故に、性的暴行にあった。当時は性的暴行という意味もわからない時期だった。高校ぐらいから、恋話をするクラスメイトに違和感を覚え、自分の性別に対して違和感を覚えていた。女性らしくするように言う親の言葉が嫌だったし、私が女性という性別に入っている事を否定していた。私服はズボンだった。

社会人になってからも、化粧はしなかった。スカートではなくパンツスーツにしていたし、職種もPCの技術系にした。それでも、女性である私は、男性社員より早く出勤して掃除をし、仕事の手を止めてお茶を出した。言葉でのセクハラは日常茶飯事だった。上司に性的関係を持たなければ首にするとも言われた事があるし(その職場はその後に辞めた)、小さな芸能事務所のPC業務の求人では、化粧をせず口紅だけで面接を受けた私に、化粧をしてクライアントに営業(枕営業を仄めかしていた)をする事を条件に雇ってやるとも言われた事がある。(もちろん辞退した)

満員電車の中で痴漢にもあった。帰宅が遅い時に、車を寄せられしつこく迫られ、慌ててタクシーを止めて飛び乗り、その車から逃げた事もある。自宅付近でバイクに乗った男性に追いかけられた時は肝が冷えた。

ここまで書くと、私がなにやら美人だと主張しているように感じる男性がいるのではないか。または、男性を誘うような身なりをしていたという人もいるのではないか。だが私は日ごろから化粧はしないし、スカートも着用しておらず、もちろん顔も取り立ててよい訳ではない。そんな私がこれだけ体験しているのだ、世の中の女性はもっと怖い思いをしているのではないかと言いたいのだ。私よりもっと身綺麗にした女性なら、電車でも会社でも毎日性的ハラスメントが続く日々ではないのか。

 ここで、痴漢行為を受けた側、女性から寄せられたコメントの中の一つを取り上げたい。

「触られた悔しいでもなければ 触られた腹立つでもないし 触られる自分が恥ずかしいっていう自己肯定ができなくなるんだってことに 気が付けよ」

このコメントを見て、私がずっと自分の性別を否定してきた理由が理解できた。私は性的暴行を受けた自分が嫌いで、自分の性が嫌いで、自分をずっと否定してきたのだ。

私は男性になりたいのか、または私の恋愛対象が女性なのかと、疑問に思っていた時期もある。試しに女性を恋愛対象にするジェンダーの集まりに参加した事もある。けれど、女性である自分を否定する私は女性としてそこに参加する事に違和感を覚え、かといって男性になりたいという訳でもないことを確認しただけだった。

男性も女性も恋愛対象ではない私は一体何なのだろう。

これはずっと私が抱えてきた問題だった。

それが、この方のコメントではっきりした。私は性的暴行を受けてから、私の性別を含めて私自身を肯定できずにいたのだ。

センター試験で試験会場へ向かう電車で女性が痴漢行為にあったとしたら。

当日の試験に全力なんて出せないだろう。行けるはずだった大学へ行けなくなるかもしれない。そして、声をあげることができなかった自分を否定するかもしれない。

私は気が強い方だと思うが、それでも、満員電車の中で、ズボンの後ろから股間に手をまさぐり入れられた時には、硬直して動揺して、相手を睨みつけるだけしかできなかった。捕まえる事はおろか、声をあげることもできなかった。

 
センター試験に向かう途中の女子高生が、見知らぬ男性から下着の中に手を入れられ触られたら。試験に集中できるだろうか。手が震えて何も書けないかもしれない。結果、入れるはずの大学に入れなかったとしたら、彼女の人生は大きく変わるかもしれない。彼女は男性恐怖症になるかもしれない。そうなると、彼女は一生、心に呪いを背負っていかなければならないかもしれない。一生一人で生きようと思っている私のように、死ぬまで続く自己否定の呪いを背負うかもしれない。

この中には、「痴漢」で検索すると、加害者のために法的サポートをする弁護士事務所のウェブサイトがいくつもヒットする。示談の方法、前科がつかないようにするためにはどうすれば良いか、などが詳細に説明されている。こういったウェブサイトでは、痴漢と呼ばれる犯罪のうち、「迷惑防止条例違反」になるか「強制わいせつ罪」になるかの違いが説明されていることもある。

違いは、大雑把に説明すれば下着の中に手を入れたかどうかなど。男子学生の「パンツの上から触った」という一部容疑否認は、この知識からではないだろうか。

「東大生が電車内で強制わいせつ センター試験前日に高校生を狙う犯行、3回目の逮捕」 https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20200120-00159635/

痴漢 東大 で検索すると、実名を晒す記事に混じり、このコラムが出てきた。触り方までマニュアルがあるというこの国は、どこまで男性に優しい社会なのだろう。痴漢を行った男性は(触り方のマニュアル?)に沿って、下着の上から触ったと主張しているという。今回は捕まったものの、これは氷山の一角であり、大多数の痴漢行為を行った男性は、被害にあった女性が背負う精神的苦痛やPTSDとは無関係に、通常の生活を送っているのだろう。被害女性の人生を破壊したとしても、破壊した本人は罪の意識などみじんもなく、新たな被害者を物色しているのかもしれない。

重ねて言う。私は容姿がよい訳ではない。また、安倍政権が言う30歳を超えたら女性ではないという範囲の年齢で痴漢にあった。スカートではなかった。ズボンで化粧をしていない自分が痴漢にあうとは思っていなかった。

その後は女性専用車両があればそれに乗るようにしたし、郷里に帰ってからは混雑する交通機関の利用を避けている。

私の頭がおかしいのか。私は妄想を持っているのか、私の認知は歪んでいるのか、目に見えているものは事実なのだろうかと悩んでいた時期もあった。(それで私は脳の認知に関する本を読み漁っていた訳だが)悩んだ私は精神科の扉を叩き、出た結果がアスペルガーという診断だった。それには、神秘的なものや神を信じない現実的な思考をしている、という結果もあった。
 
自意識が過剰で、痴漢の被害にあったり、上司に性的交渉を迫られたりするのだろうか。
なぜ、被害にあう側が「自意識過剰」と言われなければならないのだろうか。なぜ強姦された事を告発した伊藤詩織氏に対して、日本の社会は被害者である彼女を叩くのか。

女性車両バッシングについて話を戻す。

女性車両に関するインタビューを受けた女性に対しての容姿のバッシングを多数の意見としてそれを正しいとする「どこまでも男性優位の社会」に対して、疑問を持ってほしい。今の日本社会がどれだけ女性の人権を蔑ろにしているのかという事実を知ってほしい。他人事ではなく当事者として意識を向け、この状況を改善する事に参加をしてほしい。

まずは #withyellow という意思表示からでいい。

そして男女問わず、当然のように女性差別が行われているこの社会の構図に疑問を持ってほしい。


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コメント

  1. トリ食えば名無し より:

    ウイグルの強制堕胎もね
    ウイグル族ら10万人不妊手術 中国強制?5年で18倍
    2021/2/4 6:00 (2021/2/9 15:42 更新)
    【北京・坂本信博】中国政府による少数民族ウイグル族への抑圧政策が強まった2014~18年に、新疆ウイグル自治区の不妊手術が18倍に増え、計10万人の住民が手術を受けたことが政府の資料で分かった。中絶件数は延べ43万件を超え、子宮内避妊具(IUD)を装着した女性は17年時点で312万人に上った。中国政府が産児制限を緩和する中、自治区の不妊処置は不自然に増えており、非人道的な人口抑制策が実施されてきた疑いが強まった。 

    【関連】ウイグル族「中国が不妊手術強制」拒めば収容施設  

     自治区政府や中国の研究機関は「住民が自ら望んで不妊手術を受けている」と主張するが、自治区では大量のウイグル族を施設に収容するなど強硬策が実施されており、当局が推進する不妊手術を住民が拒否できる余地は少ない。米国などは「不妊手術や中絶が強制されている」と指摘する。自治区の出生率は14~18年に3割以上も激減しており、海外のウイグル族からは「民族を消し去ろうとしている」との批判が上がる。

     西日本新聞は中国国家統計局が毎年発行する「中国人口・雇用統計年鑑」「中国保健衛生統計年鑑」や自治区統計局の「新疆統計年鑑」を過去10年分入手し、自治区の不妊手術や中絶の実態を分析した。

     男性の精管や女性の卵管を結ぶ不妊手術は、14年の3214件から15年は約1万件に3倍増。17年は約2万件、18年は約6万件に達し5年で18倍になった。中絶件数は14年以降年8万~10万件、IUD装着手術は年20万~30万件に上った。

     少子高齢化が進む中国では、1979年から続いた産児制限「一人っ子政策」が15年で終了。現在は都市部2人、農村部3人までの出産が認められており、中国全体では16年以降、不妊手術やIUD装着手術が急減した。しかし、自治区では逆に不妊手術などが増加。資料によると、17年時点で不妊手術を受けた男女は約19万人に上った。

     民族別の不妊処置状況は不明だが、自治区の地域別統計を見ると、18年時点で不妊手術を受けた人の99%、IUD装着者の63%がホータン、カシュガル、アクスの3地域に集中。3地域はウイグル族が全体の8~9割を占めていた。

     自治区の人口千人当たりの出生率は14年の16・44から18年は10・69に減少。14年時点は中国全体の出生率(12・37)を超えていたが、18年は国全体の数値(10・94)を下回った。

     昨年6月には、ドイツ人研究者が自治区で強制的な不妊手術が行われているとする報告書を公表。自治区政府は「各民族の人々が避妊処置をとるかどうか、どんな方法で避妊するかは個人が自主的に決めるものだ。強制不妊手術の問題は存在しない。出生率の低下は国策である出産制限の結果だ」と反論している。

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