ヤバいと評判の深夜アニメがあるらしい
ラブライブのスカートの皺やヴァンパイアに噛まれると同性愛者になってしまう映画が大きな議論を呼んでしまう昨今。深夜アニメ界にも、相次いで放映が打ち切られ賛否の別れている作品があります。それがこの、『異世界レビュアーズ』です。
現在までに打ち切りの理由は具体的に明らかにされている訳ではないので謎ですが、アニメファンの間でも「表現が過激すぎる」ともっぱらの評判ですし、アメリカでもアニメ配信会社のFunimationが「基準から外れていた」として配信停止を決めていることからも、作品の内容が影響したのではないかと推測できます。
ネットでは「フェミニストのせいだ」とか「フェミニストが見たら泡吹いて倒れそう」等と、相変わらずフェミニストが引き合いに出されて散々の言われようです。個人的にはTwitterでもこの作品を見たというフェミニストの声は見かけなかったのですが、本当にフェミニストが見たら失神してしまうような作品なのでしょうか?
検証のため、フェミニストを自称する筆者が第6話までを視聴してみました。
あれ、意外とフェミ好み?
実は今回、このアニメを見ようという気になったのは、原作のファミ通クロスレビューのパロディ部分を見かけたからです。

「風俗店でサービスを受け、それを採点してしまう」という設定を知った段階では「あっそれフェミが一番怒るヤツ……」と反射的に思ってしまいましたが、このレビューは一味違います。ニンゲン、エルフ、獣人など、種族によって性の嗜好は全く異なり、レビューでつけられる点数はてんでばらばら。つまり、人が異性に対して点数で評価しようとしても、それは全くアテにならず、採点された側の人としてそのものの価値を左右するものではない、という示唆を含む描写であるように思えました。
確かに点数をつける行為自体を否定する表現ではありませんし、一切の問題がないとは言いません。しかし、ポリコレに忌避感のある人達でも楽しめる作品の中で、多少ポリコレっぽい要素がギャグとして違和感なく受け入れられるというのは、それはそれでいいことだよなと思っています。昨年「ダンベル何キロ持てる?」というアニメが人気を博しましたが、あれも萌えアニメでありがちな女の子の設定がステレオタイプとして含まれながらも、筋トレの主な目的が「ダイエットしてモテたい!」から「筋トレ楽しい!」に変化していく様が描かれていて、私も毎週楽しみに視聴していました。本作もああいうタイプのアニメなのかな?と期待してしまったのです。
思い違いだった

ゲイをコンセプトにした往年のヒット曲『Y.M.C.A.』のパロディとしか思えないノリノリのオープニングソングに、響く「スケベが大好き!」の声。画面いっぱいに映し出されたブルンブルンと飛び跳ねるおっぱい。「あらゆる種族とエッチする!」と豪語し情熱を燃やす姿は、ファミ通クロスレビュー風の表現と相まって、まるでゲーム攻略に燃えるゲーマーのようです。そして「でてこいやー!」等の怒涛のプロレス風エロラップが入った盆踊り風ソングがエンディングです。
ここで描かれる男性キャラクターたちの友情は、まさしくホモソーシャル。あけすけに性を語り、連れ立って風俗に赴き、女の子へのセクハラも厭わない割に、フェアリー族のお店で男性器の大きさを定規で測られることには突然顔を真っ赤にして恥じらうのも、ホモソーシャルならではの非対称性です。
そして女性をエッチなご奉仕をしてくれる存在として愛好する彼らの世界観は、ド直球のミソジニーです。そんな彼らを「不潔!」と罵る女の子さえも笑顔でセクハラする彼らは、ミソジニーを徹底的に楽しむことで女性に対して一切の悪感情を持っていません。ミソジニーは「女性嫌悪」と訳されてしまう言葉ではありますが、実は嫌悪を一切含まない場合もあり、それが彼らのような存在なのだということをこの作品は教えてくれます。
更に現実世界では好みが分かれるはずの巨乳への過度な賛美や、女体盛りならぬ女体焼き肉で性欲と食欲を同時に満たすシーン、オープニングで描かれる男性の股間の輝く棒など、これむしろ男性の方がキツイんじゃないか?と感じるレベルの誇張されたエロティシズム。これはミソジニーをホモソーシャルの鍋の中でコンデンスミルク(意味深)のように煮詰めて作った、毒性の高い劇物ミソジニーをどこまで耐えられるか試す、笑いとグロテスクの狭間の作品だったのです。ここまでコンセプトが強いと、一話でちょろっと出てきただけのレビューの存在は一瞬で霞みました。
美しくも悲しいホモソーシャル

ホモソーシャルもミソジニーもなんだか悪そうな言葉ですが、普段の生活でみんなが当たり前に受け入れているものです。フェミニストはこれを打破しようとする生き物ではありますが、一般的にはそこまで目の敵にされるようなことでもなく、むしろ「ダメ」と言われてもピンと来ない人のほうが圧倒的に多いはず。特にトラブルがない程度であれば、今現在は社会通念上許容されているものだと思います。
しかしみんなが楽しんでいるはずのホモソーシャルも、行き過ぎると悲劇を生みます。それは女性を蔑ろに扱っても良いという価値観の共有や、男性から男性へのセクハラとして顕在化してしまうことが往々にして起こるのです。

本作品の場合、女の子へのセクハラはギャグにされつつも女の子が殴り返すことで一応痛い目を見ていますが、男の子(ということになっている)のクリムくんが嫌がっているにも関わらず無理やり風俗に連れて行く描写があり、これは悪いこととしての表現がほとんどないため、かなり無意識的な印象を受けます。私は女性なので経験はありませんが、男性が接待などで強制的にキャバクラや風俗に連れて行かれて嫌な思いをした、というエピソードはよく耳にします。人によっては、嫌な思い出を思い出してしまう描写なのかもしれません。
一番ヤバいのは同性愛表現

どんな相手でも風俗を楽しみ尽くそうとする姿勢の主人公達ですが、アニメ第三話では非常にまずい不寛容さを露呈してしまいます。それはゲイへの強い拒否です。
女体化の薬を飲んで女性の風俗嬢とのセックスを楽しもうとする一行ですが、指名できる相手にはゲイっぽいガチムチ男性も含まれていました。彼らはあからさまに嫌悪する態度を取りますが、唯一興味がありそうなクリムくんに対し「そっちのケが少しある」などと評してしまいます。また、女性風俗嬢に男体化の薬を飲んでもらうプレイも選べるのですが、それも強く拒否しています。自分が女性へと変化することや、女性同士でのセックスには抵抗感を示さないのに対し、男性同士と思わせる要素にはクリムくん以外の全員が厳しい態度を取るというのは、ちょっとアンバランスではないでしょうか。
そこまでなら「自分の好みに合わない相手についてはボロクソ言うことで、逆説的に嗜好の多様性を見せる作品だから……」という言い訳も成り立つかもしれませんが、作中ではバイセクシャルのことを「レインボー」と呼んでしまいます。またクリムくんが女性とも男性ともセックスを楽しめると分かった瞬間、クリムくんの背中に虹がかかるギャグシーンがあります。レインボーフラッグはLGBTそのものではなくLGBTの社会運動の象徴ですから、バイセクシャルをレインボーと呼ぶのは誤解と偏見に満ちており、LGBT当事者にもLGBTの社会運動を行う人たちにも失礼です。中には当事者の中には社会運動をよく思わない人もいるので、尚更です。そして、セクシャリティの違いをギャグにしてしまうのは、絶賛炎上中の「バイバイ、ヴァンプ!」と同じ行為です。

エロよりもミソジニーよりも、ここが致命的だと思ってしまいました。
結局打ち切りは妥当なのか
最後に相次ぐ打ち切りについての私見ですが、残念ながらこれは「妥当」だと思われます。この作品には複数の問題点がありますが、ミソジニーやLGBTの問題を脇に置いても、性描写だけでアウトを取られてしまう作品ではないでしょうか。
局部は隠されているものの、ストーリーがストーリーなので毎回セックスの描写があるため、深夜とはいえ偶然家族がいるところでテレビに映ってしまえば、気まずい思いをすることは必至。大田区議会のおぎの議員は「良い子は寝る時間」「親がちゃんと子供と向かうべき話」と発言していますが、風邪をひいた子供が深夜に咳と高熱で眠れないと起きてくるのであやそうとしてとりあえずテレビを付けたら……なんてシチュエーションはいくらでも想像できます。ちなみに、この辺の話はフェミニズムとは全く関係ないと私は思っています。
また中止されたアメリカのストリーミング配信サービスであれば上記のような問題は起こりにくいと思いますが、たとえ厳格に18歳未満が見れないような仕組みにしたとしても、やっぱり「レインボー」はヤバい。それなりにLGBTへの知識を持っている人であれば、自分のサービスで配信したくないと感じるのは無理もないと思います。
もちろんこの作品にもいいところはあります。それは本記事冒頭でも書いたファミ通風レビューのこともですが、自覚的にグロテスクなまでにホモソーシャルとミソジニーを誇張しているため、ある意味動く標本のような価値があります。ホモソーシャルやミソジニーがなんなのかピンと来ない人でも、これを見れば良し悪しを別として想像してもらうことができるのです。ストリーミングを続けてくれているAmazon Primeビデオには感謝ですね。
ここまで結構厳しく書かれているように感じられてしまうかもしれませんが、そんなに否定的な感情は持たずに書いたつもりです。例えば本作品を楽しいと感じる方に対して、異常だとも改めるべきだとも全く思いませんし、私の場合はミソジニーですら全否定しない立場です。どんどん放送が打ち切られている中、あえて「この作品が嫌いだから騒いで潰してやろう」とも全く思わないのですが、批評して記録を残すことに意義がありそうだと感じたため、あくまで一人のフェミニストとしての視点から感想を書いてみました。
とりあえず失神も泡も吹かずに済んで良かったです。「フェミニストは異種族レビュアーズには文句を言わないからダブスタだ!」という声もあったのですが、この記事をもって「異種族レビュアーズに文句をつけるフェミニストがいたぞ!」とおっしゃっていただいて大丈夫、というかどんどん宣伝していただいていいですからね!一緒に表現の自由を守りましょう!
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コメント
ある程度の型に嵌まっていないと「お客様」として排除される(排除することが出来る)というネット上の薄っぺらな馴れ合いのルールを
そのまんま世界の基本ルールにスライドさせた結果、地獄のホモソーシャルの極北が誕生してしまったってオチ
世界観がうすらぼんやりしてるのは、ローカルルールは住人の多数決で緩やかに変わるものだから
キャラの掛け合いがことごとく薄っぺらいのは匿名掲示板の書き込みなんてそれぐらいに上っ面のものだから
作者の来歴は詳しく知らんけど、多分2ちゃんねるにどっぷりの青春を過ごしたんだろうなと思う
とても鋭い意見ですね。
自分はこの作品の元となった設定が生まれた場所を知ってるしその瞬間にも立ち会ってたのですが
そこは貴方の言う通り「お客様」を排除する馴れ合いルールが極めて強い掲示板で、その頃(15年くらい前)は300人前後しか人がいない掲示板だった。
そこで内輪だけで楽しむ為に生み出されたネタの一つがこのレビューを模した遊び。
そこにいた住人は、内輪で生み出したネタは内輪でしか通用しない(理解されない)から外に出すのをタブー視していた。
しかし例外は存在するもので、「自分が楽しいのだから広める」という思想の連中がこういう内輪ネタを外に出し始めた。
恐らく作者もこの連中の一人で、他の内輪ネタもかなり持ち出してる。
盗んだアイデアを得意げに自分のアイデアにした挙句、仰る通り馴れ合いのルールをそのままスライドさせた末路かなと思う。
でも最近のアニメやらは、閉鎖的な空間の内輪ネタを盗んでそのままスライドさせた作品が多い。
だから一般との衝突が頻発するし、支持する側はどんどん先鋭化してゆく。
ラブライブの沼津のポスターの件もそうだったように「寛容のパラドックス」の重要性を改めて考えさせられた
オンナノコはみなかわいそうなところがなく
性奴隷どころか ありがちな前借金で縛られている描写もない
純粋にショー売
力や身体の大きさによって力関係も生じていない
まさに人種平等
大東亜会議の理想がここにある
大日本帝国万歳🙌
亜細亜の夜明けだ!
梅毒は
新大陸→ヨーロッパ→日本
オモロイヨ
それより異種族間で新型感染症がはやるんやないかと
危ない妄想を
武漢肺炎と野生動物の市場の関係
歴史上
白人の持ち込んだ天然痘で滅んだ新大陸
モンゴル人が持ち込んだペストで人口が3分の1になったヨーロッパ
普通に面白くないからな
需要も高くないのに、リスクだけ背負い込むのはTV局にとって重すぎたんだろ
やめて欲しくないなら応援メッセージでも送ればいいのに
ファンタジーを現実的に解釈してみたっていうコンセプトの作品なのに
記事にあるとおりでその現実に存在する性的嗜好者を誤解と偏見でしか捉えてないんだもの
実在の人間すらまともに観察できてない奴が存在しない世界の人間の何を語れるの?って話
面白くないのなんて当然だよ
元記事みたいに内容を評論したり
中止が妥当とする見解を示すのは、別に弾圧ではないよ
徒党を組んで封じ込めようとする
反リベラル的な人達とは分け考えないとね
フェミニストと呼ばれる人達の殆どが中身を批評しているだけなのに、ごく少数の人が直接クレームを入れただけで『フェミニスト』による弾圧だ、営業妨害だ、表現の自由の侵害だ、と言われている現実
そこから分かることは、ただの批評すらも攻撃と捉える人間がこの世にはたくさんいるってことなんじゃないですかねえ
3回も引用するとは、よほど刺さったんですか?
自分の意図を文章で表現する場で、まるで対面であるかのように疑問形を書き連ねる点では「感情まかせの非理性的人間」、相手にボールを投げ続けてボールを投げ返さないようにする「卑怯な人間」
のどちらかしか思いつかないわー
需要がないから存在しないのか、存在しないから需要がないのかはわからん話。普及し、当たり前になれば、当たり前に利用されるようになるかもしれんよ。
本当に需要があったら女性向け風俗店があんなにバンバン潰れる訳ないんだよなあ
根拠もない仮定の話に願望が滲み出すぎちゃってますよ
デフレのせいや
アベが悪い
武漢肺炎のせいや 集近閉が悪い
弾圧される程度の人間は弾圧される程度の人間である。
逆のアニメでもドラマでも作ったらいいんじゃないかしらん。
女性が男性をあっけらかんと買い、値踏みする話。
ちゅうか、なにもアニメじゃなくて、現実でもヘルス氏がサービスしてくれるお店が繁華街に当たり前にあったり、会社の付き合いでソープ氏がいる店に行かなきゃならなくなったり、コンビニで半裸の男性がシナを作ってる表紙の本が売ってたり、不自然に股間が強調された少年のイラストで献血を薦めたりすればいい。
需要のないもの無理矢理作っても意味ないぞ
「韓国アイドルの原爆Tシャツに対抗してジャニーズに慰安婦Tシャツ着せればいい」とか言うのと同レベル
貞操逆転世界
https://www.manga-news.jp/article/27565/
作り手が地上波で放送するには際どい内容なのにリスクを承知で放送することを決断したんやろ。作り手の判断力を責めろよ。
フェミの反知性的発言
>>すげーイライラしてて草
>>すげーイライラしてて草
>>すげーイライラしてて草
もし指摘が当たらなかったら失礼だが
二度とリベラルと自称すな
口角泡を飛ばして「じゃないですか?」「じゃないですか?」と興奮してる様がただただ滑稽なんだな
フェミとかリベラルとか、勝手にラベリングすんなよ
印象操作は、やめていただきたい!
草生やされただけで思想透視とかすげえな
そのメガネどこで売ってんの?
オタクのコンテンツが社会と起こす軋轢って大抵TPOが原因。同好の士しかいない部室内と老若男女みんながいる公園では好ましい表現のレベルが違うことが理解できない人が多い。
規制が入るのは分かっていたことですけどね
あんまり言いたかないですけどね、最近多いですよ経済的損失の大きいクレームが
そもそも人間じゃないやつの採点とかそういうのに対して人権尊重しろ!だとか的外れなんだよ。
書いてあるだろ神話生物に対するレビューだと
空想レビュアーなんですよ
リアルと2次元は違うんですよ?
それも分からないから
皆に毛嫌いされるんですよ?
何で分からないんですか?
現実と2次元の違いがいつ分かるんですか?
現実にあるソープやピンサロのレビューを問題にして書いた方がいいんじゃないですか?
腐女子のリョナ本を問題にして書いた方がいいんじゃないですか?
すげーイライラしてて草
“メガネを掛けた出っ歯の黄色い猿”が津波に流されたり核融合炉にブチ込まれるアニメ作っても人間じゃないからセーフ?
隣国が八咫烏を惨殺するアニメを作っても神話生物だから腹立たないの?
日本には表現の自由があるから二次元や実写の子供や女性のエロ表現をTPOに合わせて楽しむのは自由だし、規制されることは不当。
ただ「設定上人間の子供や女性じゃないからセーフ」とか身内にしか通じない論理を振り回して、一般社会相手にチキンレースを仕掛けるのは他のオタクにとって迷惑だからやめて。
そんなに「経済的損失の大きいクレーム」が多いんだったら警察に相談すべきでしょ
あいちトリエンナーレではちゃんと逮捕者出てるやん
あと腐女子のリョナ本も二次元だと思うんだけどわざわざ引き合いに出してくるあたりお察し
ただの弾圧やん
そうですね、性差別や同性愛差別は弾圧の一種ですから
あなたの意見は正しいです