障碍者が主演『37セカンズ』は障碍者映画であって障碍者映画じゃない傑作

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前回記事の2月に見た映画全レビューで、最後に100点満点を付けた映画『37セカンズ』を今日は紹介します。

 

タイトルにも書きましたが、この映画の主演は佳山 明(かやま めい)さん

生まれた時に37秒間呼吸ができなかったことで脳性麻痺の障碍を抱えた23歳(撮影当時)。

右手は自由に動くものの、左手と両足は不自由で車椅子で生活しています。

 

映画初出演ながら素晴らしい演技で、最後にはみんな彼女が好きになると思います。

 

それもそのはず、HIKARI監督はオーディションで抜てきしてから佳山明さんに合わせて脚本を書き換えて、主人公「貴田ユマ」を彼女自身に近づけた物語になっているのです。

今回は肝心要のサプライズ部分は書きませんが、2段階でネタバレします。

登場人物のネタバレと、オチのネタバレです。

2回警告しますので注意してください。

この記事における「障碍者」という表記について、『37セカンズ』公式サイトでは「障害者」となっていますが、この表記に賛否あることを考え「障碍者」に統一させてもらいました。ご了承ください。

ではレビュー始まります!

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冒頭のお風呂シーンがいきなり強烈

ここがいきなり強烈なシーンで観客を惹きつけるし、ものすごい情報量を含んだ大事な大事なシーンです。

 

「汗をかいたからお風呂に入ろう」と促され、主人公ユマとお母さんは脱衣所に行きます。

ユマは四つん這いになり、お母さんに服を脱がせてもらいます。

屈辱感もあるのではないかというポーズで全裸になるのです。

ここでこの映画は逃げないし、僕ら観客も逃してくれません。

 

ユマとお母さんの全裸を隠さずきっちり見せます。

僕のような身近に介助の必要な障碍者がいない人には絶対に見ることのない現場を「目を逸らすな」と言わんばかりに映します。

この映画は障碍者の感動ポルノなんかじゃないぞ」とビシビシ伝わってきます。

お母さんは服を脱ぐときに腰のコルセットを外します。

これは介護で腰を痛めたのかなと思わせる演出。

2人で湯船に浸かりながらお母さんが 「髪伸びたね。そろそろ切らないと。」と言うと

ユマは小声で「伸ばしたい…」と返します。

お母さんは聞こえないフリなのか、答えません。

 

介護する側にとっては、髪が長いと乾かすだけで1時間かかることもあるそうで、長髪の手入れはかなりの労力なのだそうです。

その上、濡れた体を拭いて服を着せて。

冬場なら手早くやらないと体調にも関わります。

ワンオペ介護ならなおさら自分のこともそっちのけでやらないとなりません。これが毎日です。

※介護経験のあるからあげ嫌い氏(仮名)のお話しを参考にさせてもらいました。

それがこのやり取りだけで充分すぎるほど伝わります。

過保護なお母さん、反発する娘

このように介護に一生懸命なお母さん一生懸命すぎて過保護になっています。

ユマがワンピースを着たいと言っても「襲われたらユマは抵抗できないから」と止めたりします。

結果、化粧もせず地味な服装でお母さんに付き添われて出かけることになります。

 

また、お母さんはシェイクスピアを読み聞かせするのですが、お母さんの趣味を娘に押し付けているようにも見えます。

23歳。当然オシャレして出かけたいのに中々好きにできないユマは、お母さんと度々ケンカになります。

介護に一生懸命で大変なお母さん?

過保護で自立を妨げてるお母さん?

自分でできることもやらせてもらえない娘?

介護してくれる人のことを考えない我儘な娘?

 

僕たち観客は感じ方が揺れます。

セックスしたことがないとセックスは描けない?

ユマの職業は、なんと少女漫画家である親友のゴーストライター

ユマは動く右手を使って漫画を描く才能があるのです。

ビジュアルのいい親友はYouTubeやサイン会に出て、作品はユマが描くというコンビで働いています。

当然、世間から認められるのは親友。

 

自分も認められたいと思い始めたユマは少女漫画の編集者に作品を見てもらいますが「SAYAKA先生(親友)と似てるね」と突っぱねられてしまいます。

ユマが描いたのだから当然です。

 

そこでユマは偶然見かけたエロ漫画誌に作品を持ち込むことにします。

そこでいよいよ物語が動く衝撃的な言葉をかけられます。

ユマは、持ち込んだ作品を読み終えた編集長に

「あなた経験ある?」

と言われてしまいます。

そうです「セックスしたことある?」という意味です。

「作家に経験がないのに良い作品は作れないのよ」

「経験してからまたおいで」

ユマはこの言葉に打ちのめされ…ません!

ここから1段階目のネタバレします。ご注意ください。

車椅子で歌舞伎町を彷徨う

アドバイスを真に受けたユマは彼氏を探そうと出会い系サイトで色々な男性と会うことにします。

もちろんお母さんには「親友宅で仕事をする」とウソをついて出かけます。

 

しかし車椅子の障碍者ということで相手が引いてしまったり、「僕は気にしないよ」と言いながら2回目のデートをすっぽかされたりしてしまいます。

 

デートをすっぽかされたショックで街をフラフラしていたユマは夜の歌舞伎町に来てしまいます。

そこで出会った客引きに男性デリヘルを頼むことに!

しかしこれも上手くいきません。

うっかりお漏らししてしまい拒否されてしまうのです。

 

出会い系も男性デリヘルもうまくいかなかったユマは、夜の歌舞伎町で運命的な出会いをします。

車椅子の男性と、障碍者専門のセックスワーカー女性です。

彼らとの出会いでユマの世界は一気に広がります。

お母さんの管理下では絶対に着させてくれないオシャレな服を着て、化粧品を買い、夜の街に飲みに繰り出します。

人生でこんなに楽しかったことがあるだろうかってくらいの笑顔!

ここからユマは今まで経験したことのないことを、どんどん経験していきます。

当然お母さんに見つかって超怒られてしまい、リハビリ施設から抜け出し家出を決行します。

お母さんと離婚した父親に会いに行きます。

左の男性は歌舞伎町で知り合ったヘルパーさん。

なぜかヘルパーさんとタイにまで行きます。

理由は映画をご覧ください!

ここから2段階目のネタバレします。 ご注意下さい。

様々な経験を経たユマの作品

タイから帰国して一皮も二皮も向けたユマ。

お母さんも、家出までしたユマの気持ち、ユマがタイにまで行って得たもの(内緒にしときます)を知って、過保護すぎた自分「ユマのため」は「自分のため」でもあったことに気付き和解します。

 

セックスはできませんでしたが、こんな経験をできたお礼をしにエロ漫画誌の編集長に再び会いに行きます。

そこで作品を「エロ漫画じゃないんですが」と見てもらうと…。

これは障碍者の話ではない普遍的な作品

最後、ご想像の通り素晴らしい作品に仕上がったことを認めてもらえるラストになっていくのですが、これはもう障碍者が社会生活の障壁に苦労する話ではありません

誰でも当てはまる普遍的な話です。

この話、装飾を取り外して1文にすると

「作品を否定された作家が様々な経験を経て、ついに認められる作品を描く」

話なのです。

だから感動するのです。

そして何より、冒頭から障碍者特有の話を盛り込んでおいて最後には普遍的な話に落とすことで、障碍者であるユマと、スクリーンの前の僕たちと、何ら変わりない人間であることが伝わります。

自分とは違う「障碍者の話」だと思って見始めたのに、最後には「自分の話」として受け止められるのです。

親からの自立、出会いと経験、人生へのフィードバック。

彼女の悩みは自分の悩みとなんら変わらないじゃないか、と。

本当に素晴らしい作品。 100点満点です!

HIKARI監督はこれが長編デビュー作

これから期待大です! 要チェックですよ〜!



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コメント

  1. トリ食えば名無し より:

    なかなか良い解説だったが、これで十分だな
    映画館まで行って観ようとは思わん

  2. トリ食えば名無し より:

    マシな方の障がい者

  3. トリ食えば名無し より:

    バリパラののりなんだな
    あの感覚だと
    「障碍者」と書くポリコレは嘲笑の対象なんだな

  4. トリ食えば名無し より:

    気持ち悪い

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