窪寺伸浩著『すごい神棚』を評す

久路喜之

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政治
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三行まとめ

神棚についてのガイドブックとしては便利。

ただし(基本的人権である)信教の自由への顧慮が欠如している。

現代型神道のナチズム的性格が浮き彫りに。



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はじめに

 「神棚マイスター」として活動する窪寺伸浩氏の新著『すごい神棚』(宝島社)が上梓された。買い求めてみたところ、草の根レベルでの実践的神道が問題含みであることを訴えるのに格好の書籍であったので、ここで書評の体裁を借りつつ取り上げてみたい。

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入門書としては便利

 神棚についてのガイドブックとして見るならば、本書の利便性は高い部類に属すると言えるだろう。宮形・注連縄・神鏡・棚板からなる神棚の構成や、祀るべきお札は「天照大御神」「地域の神様(氏神神社または産土神社)」「崇敬神社(自分が崇敬している神様)」が基本であること、榊を立てて毎月1日と15日に取り替えること、お供えの米・塩・水・酒は毎日拝礼前に取り替えること、お札は1年ごとに取り替えるのが良いとされていることなどが本書ではわかりやすく説明されている。ネット通販での入手についても案内があるのは、発行したてだけあって、いかにも現代人向けである。

問題点:基本的人権に対する意識の低さ

 このように、(知識を得るためだけならば)手軽で便利な「神棚生活の実践入門書」である本書だが、基本的人権の尊重という立場からその前提としている思想に立ち入ってみると、自ずから違う姿が見えてくる。

 4章構成の本書の、第1章のタイトルは「なぜ成功者は神棚をもっているか」であり、第2章のタイトルは「神棚で会社やお店に神様をお招きする方法」である。ここでのメインターゲットが経営者であることは言うまでもないだろう。本文では従業員についても言及されるが、あくまで「主」は経営者であり、従業員は(まさに)「従」であるに留まる。本書の前半で語られるのは、経営者による神棚の設置(奉祀)であり、従業員をも巻き込んだそれへの拝礼のすすめである。

 経営者は従業員に対して支配的な地位にある。この力関係を用いて、(従業員個人にとっては必ずしも信仰の対象であるとは限らない)神棚への拝礼を強要することは許されるものだろうか。

 否、である。ペンシルベニア憲法にもあるように「いかなる人間的権威といえども、いかなる場合にも良心の問題に干渉し、魂の力を制御することはできない」(※)。信教の自由は、不可侵の基本的人権である。なんぴとといえども、信仰してもいない宗教の礼拝を強要されてならない。

 しかるに、「社長や社員が会社や店舗、工場で安全や商売繁盛を祈願して神棚に拝礼する姿に違和感を抱くことはほとんどありません。」と書いてのける窪寺氏の意識には、私見によれば、信教の自由への顧慮が欠如している。厳しい言い方をすれば、人権感覚が、市民社会の一員として必要な水準にまで到達していないのである。

現代型神道のナチズム的性格

 本書の副題は「見えない力を味方にして成功する方法」であり、「はじめに」においても「成功している企業の多くには、必ずきちんと神棚が祀られており、大事に扱われています。」と記述されている。

 マイクロソフトやグーグルに神棚が祀ってあるはずもないのだが、それはさておき、こうした文言から看取できるのは、宗教施設(「小さな神社」)を雇用労働の場に置くことの異常性に気づかない鈍感さである。そして、それは現代型神道の特性に由来しているものと思われる。

 本書で言う「成功」とは、詰まるところ、経済的な成果である。これを達成するための「合理的な」手段として宗教的な諸装置が、従業員の人権(信教の自由)を無視して推奨される。ここに横たわっているのは、現代型神道を性格づけている「人権不在の合理性」である。

 我々は、このような合理性が暴走した惨劇を歴史で知っている。いわゆる「T4作戦」がそれである。

 「この残虐で非人道的な政策は、人間の価値を恣意的に計り、「優秀な者」「役に立つ者」だけの社会を追求したナチ・ドイツが引き起こした国家的メガ犯罪である」(石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』)。戦争遂行に支障をきたしうるとみなした人々を組織的に抹殺する「安楽死殺害政策」によって不治の患者・遺伝病患者・心身障害者などがヒトラーの犠牲になったわけだが、こうしたナチス的発想の根源にあったものこそ、目的を達成するためであれば人間の尊厳など踏みにじっても構わないと考える「人権不在の合理性」に他ならない。

 戦前の神道は国家神道であり、国家と一体化した神道であった。これに対して、現代型神道は、富や名誉の獲得に貢献することを期待された功利的神道であると言えよう。そこにあるのは、目的のためなら人権を蹂躙して恥じない酷薄な「合理性」である。このような現代型神道は、「人権不在の合理性」を共通項としてナチズムと、その非人間性を分有しているのではないだろうか。どうやら『すごい神棚』は、図らずも、草の根レベルで実践される現代型神道が問題含みであることを浮き彫りにしてしまっているようである。

おわりに

 経営者だろうが従業員だろうが、自宅に神棚を祀るのはそれこそ自由である。「宗教的であること、好き勝手なふうに宗教的であること、自分の特殊な宗教の礼拝、勤行を行うこと、このことの権利はあからさまに人権のうちに数えられるほどである」(※)。だが、経営者たちによって従業員の人権が職場において脅かされるようであれば、我々はこれを許容してはならないであろう。

※カール・マルクス「ユダヤ人問題のために」より引用。



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コメント

  1. 匿名 より:

    このコメント欄、カオス
    まともに読もうとして、途中で諦めた

  2. 匿名 より:

    お局様は庶務2課員に対して支配的な地位にある。この力関係を用いて、(従業員個人にとっては必ずしも信仰の対象であるとは限らない)クリスマスパーティへの参加を強要することは許されるものだろうか。
    (ドラマ ショムニ ののりで)

  3. 匿名 より:

    要するに
    日本→ 右翼、ナチズム、レイシスト
    欧米→ きゃーε=ヾ(*~▽~)ノ、楽しい、素敵
    中韓→ ははーー仰せの通りにございます
    の3択の簡単なお仕事や

  4. 匿名 より:

    しかるに、「社長や社員が会社や店舗、工場で家族や恋人や同僚の幸福お願い、また想いびとへの告白に際し、我らの救世主の誕生を称える歌を唄う姿に違和感を抱くことはほとんどありません。パーデレ様も彼ら異教徒が主の与えたもう至福に浸る姿をご覧になれば我らの永年の献身の精華に主の御力をお感じになるに違いありません」と書いてのける窪寺氏の意識には、私見によれば、信教の自由への顧慮が欠如している。厳しい言い方をすれば、人権感覚が、市民社会の一員として必要な水準にまで到達していないのである。

  5. 匿名 より:

    宗教からの自由も行き過ぎるとナチズム・レイシズムになるというお話し
    (引用 2010年の記事らしい)
     フランスでは「ブルカ禁止法」が議論をよんでいる。イスラム教徒の女性が、
    頭からすっぽりかぶって全身を覆い隠す衣装のブルカやニカブを公共の場で着用
    することを禁じ、違反すれば着用者は罰金150ユーロ(約1万7千円)か、フラン
    ス市民教育の受講を義務づけられ、女性が着用を夫や父親に強制されていたとす
    れば、強制した夫などには最高で禁固1年か罰金3万ユーロが科せられるという。
    http://www.alter-magazine.jp/index.php?%EF%BD%9E%E3%80%8C%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AB%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%B3%95%E3%80%8D%E3%81%8C%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%90%86%E5%BF%B5%E3%81%A8%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E3%81%AE%E7%9F%9B%E7%9B%BE%E3%82%92%E3%81%82%E3%81%B6%E3%82%8A%E3%81%A0%E3%81%99%EF%BD%9E
    とってんぱらりのぷう

  6. 匿名 より:

    「 弾圧に耐えるチベットの人々 暴虐を隠蔽し続ける中国共産党 」
    『週刊ダイヤモンド』 2018年3月3日号
    https://yoshiko-sakurai.jp/2018/03/03/7324

    目を閉ざすな!

  7. 匿名 より:

    俺はクリスマスなって大嫌いだ~~ だ~ Da~~
    ★★★★★
    ヴァレンタインデー なんてもっと嫌いだ~~~~~~~~~~~~

  8. 匿名 より:

    経営者だろうが従業員だろうが、自宅でXmasを祝うことは自由である。「宗教的であること、好き勝手なふうに宗教的であること、自分の特殊な宗教の礼拝、勤行を行うこと、このことの権利はあからさまに人権のうちに数えられるほどである」(※)。だが、経営者たちによって従業員の人権が職場において脅かされるようであれば、我々はこれを許容してはならないであろう。

    俺はクリスマスなんて嫌いだ~~~~だ~~~だ~~(by 非リア充)

    • 匿名 より:

      これが本物だ
      中国国歌斉唱に豚のみの食事、イスラム教徒が語るウイグル強制収容所
      2019年3月26日 19:59 発信地:イスタンブール/トルコ [ トルコ 中東・北アフリカ 中国 中国・台湾 カザフスタン ロシア・CIS ]
      https://www.afpbb.com/articles/-/3217648

    • 匿名 より:

      宗教の自由を求める皆様へ
      「新型コロナウイルスをめぐり、その隠蔽体質が問題視された中国ですが、同国がひた隠しにしてきた危機的状況がもう一つあります:それは、中国当局が少数民族のウイグル人100万人を強制収容した上、洗脳しているという問題です。

      またウイグル女性に対するレイプや拷問、親元から子どもを連れ去る行為も横行しています。

      2020年のできごととは思えない、この恐ろしい事態にもかかわらず、各国政府は断固たる非難の姿勢を示そうとしません。けれど、わたしたちは黙って見過ごしたりしません!まもなく国連では、これをめぐり協議が行われる予定です。関係者によると、果敢に中国を追求するよう国際世論が強く訴えかければ、複数の主要国を動かすことは可能だそうです。今これを読んでいる皆さま全員からご署名が集まれば、拘束されているウイグル人と同じ100万人分のご署名を、国連の協議の場に提出することができます。」
      https://secure.avaaz.org/campaign/jp/uyghurs_in_china_loc/

  9. 匿名 より:

    神棚を置いたり、拝んだりするのがナチス的宗教弾圧などとあきれた事を言いながら
    クリスマスパーティーへ参加を呼びかける事に疑問を抱かないとは
    君はヨーロッパ白人至上主義のレイシストだ。

  10. 匿名 より:

    ウイグル人が収容所で豚肉を強制的に食べさせられている事
    にも同情をして欲しい

  11. 匿名 より:

    日本でやるべきは道徳教育ではなく人権教育だという論を改めて実感する

    • 匿名 より:

      中国人民がいかに虐げられているか
      とかですか
      中共では医療を受けられるのは3割だけだそうな
      農民工なんかは医療を受けられないそうだ
      だから武漢肺炎の収束なんて永遠にこない

    • 匿名 より:

      農民工は人民共和国においての農奴階級なのだから人権を要求するのが間違っている

  12. 匿名 より:

    牽強付会

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